首引恋慕

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ミシミシと骨の軋む音。 苦しくなる呼吸。 頭に血が回らなくなってくる。 首筋には流れる汗 絡めるように舐めとられる 苦しいながらも まだ虚勢をはれる能力は残っているらしい とんだ負けず嫌いだな私も 『首って…急所なんだよね』 『…だから"それくらいのリスク"を 重ねてるんだと思うよ、この状態は』 …そうやって冷静に分析しないでよ。 醒めてしまうじゃない? 『…ふふ。じゃあ…』 『!?』 目の前にある繋ぐ紐を思いっきりたぐりよせる 『…ッ!!?』 相手の咳き込む声 何でだろう、口許が攣りあがっていくのが判る。 『これって、かなりの極限状態な訳だ?』 今、絶対にニヤリとした性悪顔になっているだろうな。 『…フン』 鼻で笑うと同時に 『!!!』 今度は私が驚く番。 絞まる、それも凄い力で。 私と同様、いやそれ以上に力強く紐を引っ張った。 あまりの力の掛りように顔が熱くなる。 酸欠だ。 湧き上がる唾液すら飲み込めないくらいに。 『…そうだよ?極限状態。 急所をこうして刺激し合っている。 …生死にかなり近い位置でね?』 あぁ、本当に愉しい。 思わず笑ってしまった。 『では私は 君にとって 共に生死の狭間にいるのにふさわしいモノだと?』 相も変わらず、性悪な笑みを浮かべ尋ねる。 幾分か呼吸のペースが落ち着いてきた。 挑発めいた発言になったのが自分でもハッキリ分かる。 『無論だよ。寧ろ堕ちたいと思っている。 それくらい、夢中になる感覚に。』 『…フッ。確かに。 それは私も同意だな。』 壊れる寸前の 君を見てみたい。 きっと。 きっと最高に私の嗜虐心を刺激するだろう。 そして君もきっと 同じように 私を 追い詰めたいと思っているだろうな。 ―互いに 拮抗している 嗜虐の心― これほど怖く また深い結びつきは 未だに体感したことはない。
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