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最後
周りが変だと思い、桃花は雨の中走っていた。
母達はついてきていない。そう思いたかったが、足音が聞こえてきた。
山に登っていき、暗闇の中どこに行けばいいかわからなかった。
桃花は足を止めて、大声で雨の中泣いていた。
雨の中歩きながら、進んでいくと、ボソボソと声が聞こえてきた。
「……ぇ」
聞こえない声、桃花ははぁはぁと息が荒くなる。恐怖心から、震えも出てきた。
「……でぇ」
桃花は辺りを見渡して、走って逃げようとしていたが、足がもつれて倒れてしまった。
「……いでぇ!!」
段々と声が大きくなっていく。段々と近づいてくる。
「いや、来ないで」
「おいデェ! おいでぇ! おいでぇぇえ!」
大声で何度も何度も言われ、桃花は振り返ってはいけないのに、振り返った。
そこに、長い髪に顔だけの化け物が現れた。
「ひっ」
悲鳴をあげる前に、目の前に化け物がやってきた。
ガブッ。
そこで意識を途切れた。
* * *
『ここでニュースです。K県のとある村にて、殺人事件が起きました。『肢体事件』はまだ解決しておらず、犯人はいまだに不明です』
母はニコニコと笑っていた。
「うー、うー」
母は首だけになった娘の頭を撫でながら、幸せそうに笑っている。
喋れないように口を縫っている。
涙をボロボロと流している。
「これで、みーんな一緒」
終わり。
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