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歌が終わった時にその子の後ろに居たのはボクでした。子供が楽しそうに振り向いた瞬間、ボクは階段から子供を突き落としました。姿を見られたらゲームに負けてしまうからです。いや、その時はそんな事は考えてなかったように思います。大抵理由なんて後付けで、自分が人間としての理性があると思いたいだけ、それに気がついたらボクの姿が大人になっていました。なるほど。人はこうやって大人になるのかと思いました。視線を感じたような気がして、下を見ると落とした子供は骨になっていました。悪いことしちゃったなと思った時に目が覚めました。一週間くらいなった時、ボクらが遊びに行った森の奥の方に白骨死体が見つかったそうです。それからボクは森に行ってません。ケンジくんもケンタくんも怖がって森に行こうとしないからです。それにケンジくんもケンタくんもボクと話をしてくれません。あのカゴメカゴメの輪の中にケンジくんとケンタくんも居たのかもしれないです。たぶんボクらの友情も建築物の鉄骨と同じでただの型だったのだと思います。だから壊れてしまってもおかしくなかった。所詮作りかけの夢。ケンジくんもケンタくんも現実と違って上手くいかないのは仕方ないのです。彼らはただの夢なんですから。今日も夜にボクと知らない誰かの現実に戻ります。
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