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夢の町
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今年の夏ボクは田舎の町に引っ越してきました。緑が生茂る小さな小さな町です。その町は鉄骨のままの建物が幾つもあるから、ボクは作りかけの町と名付けました。もしかすると壊れかけた町なのかもしれないです。作りかけと壊れかけも案外似ていることをボクは知っています。どちらにも共通する事といえば、完全に機能しない事と、今にも壊れてしまいそうだという事。考えたってボクには分からなかったから、お母さんに聞いてみました。お母さんは顔をしかめて、「何言ってるの?」と言いました。お母さんもわからないみたいです。玉手箱を開けた浦島太郎の気分が少し分かった気がしました。引っ越しの手伝いにも飽きて、とにかく未開拓の地を冒険したくなりました。だからボクはダンボールを運ぶお母さんの目を盗んで、こっそりと外に逃げました。帰ってきたらきっと大目玉を喰らいます。考えてみれば大目玉とは変な単語です。大きな目玉があったら遠くまで見渡せるのでしょうか。
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