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この世界はずっと廻り続ける。
その廻る中ではきっと楽しい事もある筈だ、と思っている。
まあどういう意味かといえば。
死ぬのが勿体無い世界だろ?、って話だ。
そんな考えの俺だが。
ある日の事.....退屈もそこそこに4月の昼休み。
学校から飛び降りようとしている?様な美少女を見つけた。
それは見惚れそうな優しげな顔立ちに。
見惚れそうな艶やかな長髪の黒の髪の毛。
そして.....何処ぞのモデルと言っても過言じゃない程にスタイルが良い。
だけどそんな事をあまり考えれない。
あまりに愕然とした俺は柵の向こうの少女に咄嗟に声を掛ける。
すると少女は悲しげな顔で俺を見てきた。
「貴方.....誰ですか」
「.....ああ。俺か。俺は佐藤ミチル(さとうみちる)だ。.....お前は?」
「.....私は石川流星(いしかわりゅうせい)です。名乗ったからどうだって話ですけど.....」
「.....そうか。.....なあ。流星。もし良かったら話をしないか。こっちに来て」
「.....別に.....もう私は死にますので。.....大丈夫です」
そうだな、とは言う。
だけどそれじゃ引き留めるには弱すぎる。
俺はどうしたものか、と思いその姿を見る。
そしてハッとした。
お前は最低だな、と聞いてみる。
「.....え?」
「家族を遺して死ぬのかお前は」
「.....家族?」
「大切な家族を想った事はないのか?.....自殺だけが全てじゃないぞ。お前が死ねば家族も悲しむんだ。だからお前は最低だ」
「.....さい.....えっと。そんな事.....思い付きませんでした」
「.....俺が話を聞くから。.....大事になる前に」
そして俺は手を引く。
流星の隙を見て流星の手を、だ。
それから流星を見る。
流星は涙を浮かべていた。
そうしてから静かに泣き始める。
「.....こっちに引き寄せるなんて力が強いですね。......えっと。......私、成績で悩んでいて」
「.....ああ」
「.....死ねませんでした」
「.....そうか」
何故貴方は私を止めたんですか?、と聞いてくる流星。
俺はその言葉に、咄嗟にな。.....だけど良いか。俺には座右の銘があるんだが.....、と切り出す。
そして目を丸くしている流星を見る。
「.....生きていれば良い事がある。それが座右の銘だ」
「.....でも私には絶望しかないです」
「.....絶望しかなくても。.....じゃあ俺がお前を楽しくさせる。.....これでどうだ?」
「.....アハハ。おかしな人ですね」
クスクスと笑う流星。
何とかこの場を取り繕えた様だな。
そう思っていると、お姉ちゃん!!!!!、と声がした。
それから先生達と一緒に女子生徒が来る。
顔が似ているので姉妹の様だった。
「何やっているの!?みんなびっくりしていたよ!?柵の向こうに人が居るって!」
「......うん。死のうと思って」
「お姉ちゃん......冗談でしょ?.....何で.....」
「.....私自身が生きるのが辛くなったの。だけどそこの男の子が.....私を救ってくれた」
「.....貴方が.....」
俺は苦笑しながら、別に。ただ引き留めただけだ、と言う。
それから立ち上がってから。
もう大丈夫そうだな、と流星に声を掛ける。
流星は若干赤くなりながら、うん、と返事をした。
「.....じゃあ戻るから」
「.....待って下さい!貴方.....確か佐藤先輩ですよね!?その.....感謝のお礼がしたいです!」
「.....そんなものは受け取れないよ。何もしてないからね」
その女子生徒は、でも、と言うが。
俺は首を振る。
そしてそれから、じゃあな。流星、と言いながら立ち去る。
先生達がそれぞれ動きながら俺を見ていた。
だけど俺は、当たり前の事をしただけです、と断ってから。
そのまま教室に戻る。
☆
「お前スゲェな.....そんな事をして」
「.....ヒーロー気取りってか?違うよ。俺は救っただけだ。命を。女の子を」
「.....いや。常人じゃ出来ねぇよ」
そんな噂で持ちきりの教室。
俺は苦笑いを浮かべながら授業を受けての放課後。
目の前の友人の坊主頭の田中元康(たなかもとやす)は興奮気味に話す。
俺は首を振った。
「大層な事じゃない。俺は.....命が救えただけで良かったって思ってる」
「それで何も受け取らんのがマジにキザだな」
「喧しいわ」
そんな会話をしながら俺達は掃除当番に全てを任せてから下駄箱に向かう。
それから靴を履いていると。
校門の前が何か人だかりが.....何だ?
俺は、まあよく分からんがんじゃ。野球部に行くから、と言う元康と別れてからその校門を見ながら歩く。
すると校門近くになって、あ、と声が。
それから駆け寄って来る.....え?
「ミチル君」
「.....君は.....流星?」
「そう。流星です」
「.....ど、どうしたの?いきなり」
「君を待っていたんです」
「.....え?」
訳が分からず赤くなる俺。
野次馬も、え?、的な感じになる。
その後の事もお話ししたくて、と言ってくる流星。
俺は赤くなりながら、そ、そうか、とそのまま返事をする。
それから俺達は野次馬が見ている中。
恥ずかしながら歩き出した。
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