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夏休みが終わる頃にはおばあちゃんの腰も治り、私は母と弟と海辺の街へ戻った。
そして、父も交えて家族で話し合い、来年の春に故郷に戻ることが決まった。
それからは、故郷の高校を志望校に、より一層勉強に力が入った。
海辺の街でできた友達とはお別れなんだと思うと寂しかったが、同時に美織ちゃんの元に戻るのが楽しみでしかたがなかった。
美織ちゃんとは文通を始めた。
お互い、スマホを持っていたから、メールや電話でのやりとりだってできるのだけれど、私たちの間には文通の距離がちょうどよかった。
一週間に一通くらいの頻度で、互いの近況や最近気になることを手紙に書いて送り合った。
美織ちゃんからの手紙がポストに届いたり、自分の机に置いてあったりすると、すごく嬉しくて、その喜びように母は、「初恋の相手からのラブレターが届いたみたいね」と笑っていた。
秋が過ぎ、冬が来て、年が明けると、いよいよ高校受験のシーズンになった。
「美緒が高校落ちたら、引っ越し計画は中止になるからな」
父にからかわれたけれど、そんなに心配している様子はなかった。県内模試でもちゃんと合格圏内にいたから、私も自信はあった。
志望校は父の母校でもあったから、私が受験を決めたことを喜んでいたよと母がこっそり教えてくれた。
そして、私は無事耕ちゃんと同じ高校に合格した。
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