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「私ね、美緒ちゃん」
美織ちゃんの声が明るくなった。
「お父さんに、会いたいの! すごく会ってみたいの!」
でも……と、美織ちゃんは口籠る。
「お母さんがお父さんのことをどう思っているのかわからないから、お母さんにはそんなこと言えないんだ」
それから、美織ちゃんは私を見た。
「もう少しして、二人で旅行ができるようになったら、一緒に富山へ行ってくれない?」
それは思いがけない話だった。でも、もう私たちは高校生だ。卒業旅行に友達と、東京や大阪、仙台へ行く先輩の話は聞いていた。
「うん! いいよ。私も美織ちゃんのお父さんに会ってみたいから、一緒に行くよ。 高校を卒業する記念の旅行で二人で一緒に富山へ行こうよ!」
私の提案に、美織ちゃんは目を輝かせた。
「約束だよ!」
「うん! 約束!」
私たちは固く誓った。
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