本当かな

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本当かな

 花山公園には、よく遊びに行っていた。啓太(けいた)の家から歩いて5分程のその公園には、遊具や広場はもちろん、鴨や鯉の泳ぐ大きな池や年季の入った東屋なんかもあった。春には桜、秋には紅葉、と訪れる人を楽しませる自然も豊かだった。  木々が色付き始める頃、週末に啓太は父親と公園に来た。新しく買ってもらったグローブを使ってキャッチボールをするのだ。 「おお、いい球投げるね!」 「僕、4年生の中ではソフトボール投げ一番だからね!」 父親の褒め言葉に啓太は得意になった。しばらくキャッチボールをした後、公園のベンチで休憩することにした。啓太の父親は自販機でジュースを買ってきた。 「それにしても、ほんとに立派になったなぁ…この公園。」 缶コーヒーを片手に公園を見渡す父親の目は、何だかとても懐かしいものを眺めているような色をしていた。 「そうなの?前はもっとちっちゃかったの?」 りんごジュースのペットボトルに蓋をしながら、啓太はきいた。 「そうだぞ。この公園大きくしたのはパパなんだから。」 得意げに言う父親に啓太は疑惑の眼差しを向けている。またいつもの嘘自慢だ、と騙されない準備を心にした。 「あ、疑ってんだろ。そんな目で見るなら、教えてあげよう、4年生の啓介(けいすけ)少年の冒険譚を…。」
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