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天文部顧問
翌日の放課後、僕は天文部の部室で2人の天文部員に声をかける。
「長田、桃井、ちょっといいか?」
「はい」
「どうしたんですか?」
まずはこっちの男子生徒は長田勇といい、天文部の部長だ。3年生の引退をきっかけに部長になったが、まだこれといって部長らしくという感じはしないな。ただ、どうも話を聞くと彼は宇宙飛行士を目指しているようだ。応援はしたいがもう少し勉強も頑張って成績を上げた方がいいと思うぞ。
彼女は桃井理央、天文部の副部長だ。彼女の方がしっかりしているし、長田のフォローが大変そうだと思うな。
彼女は宇宙や星そのものよりは天体とつながりのある気象に興味があるらしく、気象予報士になりたいそうだ。
すごく立派だと僕が感心していたが、更に説明を聞くと、気象予報士だとニュース番組等のお天気コーナーの担当になり、有名人になれるかもしれないからとの事なのだ。おいおい、世の中そんなに甘くないぞ。
まあ、それよりは2人にもこの話をしなくてはいけない。
「実はさ、昨日夜空をCCDカメラで見ていたら、流れ星が山に落ちたのを見たんだ」
「それって、消えたのを勘違いしただけじゃないんすか?」
「いや間違いない、今度の土曜日に部活動の一環としてその山に行くぞ」
「ええ、えらい急ですね、急に言われてもハイ行きますとはなりませんよ」
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