地球は緑、宇宙は闇

救世主 募集！

　世界を救うためには、1人の命を捧げなければならない。そんな物語は、たまに聞く。

　世界を救うために、その者は勇者となる。
　人から崇められ、奉られ、永遠の語り継がれるだろう。

　そんな話は、空想の世界だけだと思っていた。でも、あったんだ。実際に。

『全世界を救える勇気ある者、募集！』

　大々的に掲げられた広告。こんな大事業、もっと違う広報の仕方があっただろうに。なんか痛い。

　今、全世界を上げてその者を探している。求められるのは自薦のみ。つまり、自ら名乗りを上げた者だけ。

　そうしなければ、世界は救えない。
　でも、そんなヤツがこの世にいるのだろうか？

　そう言いつつも、俺は広告をまじまじと見つめていた。