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White Geranium
さよならなんて、言わないで。
そうならなければならないから。
君の手は温かい。ねえそばにいたいよ。
こんなの、引き止めるほどのものでもないのに。私は冷たい女なの。そうでしょ。
一人ではここから抜け出せない。
あなただけで逃げたくせに。本当にアンフェア。
一緒にいるって言ったじゃないか。なんで僕を置いていくの。
一緒にいるなんて嘘よ。ずっと一人だった。
隣に並んだとき君の頬は林檎みたいだった。
一方的な言葉で私のことを弄んで。
一緒に行った花畑で君に愛を伝えた。
断れないようにして、私を檻に閉じ込めた。
そうか。
そうね。
愛を落としてきてしまったのか、僕達は。
もとからこれは愛じゃなかった。
花畑で渡した愛は失くなってしまったわけじゃなくて。
私達は恋と愛の違いもわからなかったの。
じゃあ探せばいいだけじゃないか。今度こそ一緒に。
恋はいつか終わりを迎える。いつだって恋は相手を見えなくしてしまう。
だからお願い。さよならなんて言わないで。
私はあなたのために嘘をついてた。嘘つきが正直者になる、感動的なフィナーレね。
おいて、いかないで。
だから、さよなら。
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