第二話

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そして、今です。 「まったく、私を殺す気ですか!」 白を抱き上げ、前足で抗議。 たった一週間とはいえ、元に戻っているではないですか! ごめんという彼に、すぐに洗濯、そしてお風呂!と指示。 私は腕まくりをして、キッチンの掃除。 なんでゴミ箱に入れないかな? キッチンの中にはゴミと、洗い物がそのまま。 またしても部屋の片づけをする羽目に、ただ今回は小一時間ほどで終わった。 お風呂から出て来た彼は頭を拭きながら綺麗になった部屋で白ちゃんを抱き上げた。 家政婦さんを雇ったらというと、この先の事を考えると自分でしないと、と彼は言う。 まあ、そうだろうけど、再婚は考えていないんですか? ン?まあ、相手がいないとねと言われた。 「今はこの子がいるからという」 帰りにスーパーで買ってきた缶酎ハイと私にはお茶をいただき、少し休憩。 「あのさ」 はい。 彼は、仕事が好きでどうしようもないおじさんだけど、たまの食事、付き合ってほしいと頭を下げた。 それはかまわないけど。 休みも合うようだから、出来たらとまたお願いをされた。 「まじですか?」 「こんな事頼むのはおかしいんだろうけど、頼む」 今度の日曜日、買い物に付き合ってほしいと頼まれた、それも近所チョイスで、下着や靴下、それと。 さすがにそれには笑ってしまった。 白ちゃんともう少し一緒にいたいから、自宅でできる簡単な料理を教えてほしいといわれた。 時間もあるし、いいか。 いいですよとか答えようとした時、急に女性の声がした。 「冗談は顔だけにしろ!」 「うるせー!」というのは男の声だ。 なんですか? 彼は白を抱いて、開いてるサッシを指さした。 網戸にしてあるから白は逃げないだろうけど、覗くようにしてみると、下で男女の喧嘩。 それを聞いていて恥ずかしくなった。 「あの?私の時も?」 「…ええ」 すみませんと頭を下げた。 ちょっとした位置で、声が部屋に入ってくるそうだ。今まで気が付かなかったのは、白もいなかったし、部屋はエアコンがあるから窓さえ開けたことがなかったらしい。 あの日も喚起するのと掃除をしようとして窓が開いていたそうだ。 もう声は聞こえないが言い合いしているのはわかる。 「あの時のぞいて正解でした」 恥ずかしいな。 すると彼は、白のおかげであなたとこうしてお近づきになれたんですからと、彼を見るとだいぶ照れていったのか、真っ赤な顔をしていた。 恋愛は難しい。 結婚だって難しいさ。 でも両親は仲がいいです、喧嘩しても、なんだかんだ言っても、結局二人並んで寝てるんだもんな。 私の両親もだ、口げんかしていても、それが当たり前なんだという風に、親父は口を閉ざし、母の小言は子供に向けられ。それでも仲がいい、私はできなかったけどね。 はーア、私もいい家族が作れるのかな? 作りたいと思えば作れると思います、手からこぼれたものを集めるのは難しいでしょうけどね。 こぼれたものを集めて、神様に差し出したら、いい彼氏を運んできてくれますかね? 努力します。 え? え、あ、いや、と彼は慌てていた。 私はおかしくてくすくすと笑っているのだった。 「日曜日、楽しみにしてます」 彼はうれしそうな顔をして、白のお腹に顔をうずめたのだった。
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