魔物退治!?

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魔物退治!?

僕たちに話しかけて来たのは、あの副指揮官だった。この人は結構現場の偉い人なのかな。でも何でもやってるのを見ると中間管理職なのかもね。 僕がちょっぴり同情の気持ちで挨拶すると、副指揮官は少し笑って言った。 「しかしほんとこいつは人間みたいだ。俺に愛想を振り撒くのもちゃんと忘れないんだから。もしこいつが人間なら、きっと凄い勢いで出世しただろうな。ははは。 お前も自分の馬を持つのを待ってて良かったな。なかなかこの様な素晴らしい馬と巡り合うのは難しいからな。まぁ、俺の愛馬もなかなかのものだがな?…少し休憩したら今日は森に行って魔物退治だ。 お前の馬は初めてだろう?怯えるかもしれないから後方にいる様にしろ。下手に怯えて怪我をさせたくないからな。こればっかりは慣れてもらうしかないな。お前も頑張れよ?」 そう言って副指揮官が僕の首筋をポンポンと叩いて立ち去った。ご主人様は仲間に呼ばれて騎士達の集まりへ行ってしまった。…僕は今聞いた事の整理がつかなかった。 僕は先輩馬達のいる場所へ行くと、唐突に尋ねた。 『先輩、あの、さっき副指揮官が魔物退治に行くとか言ってたんですけど…。』 先輩馬達は頭を振りながら、興奮した様に言った。 『ああ、マジで燃えるぜ?魔物の森は恐ろしいけど、ご主人様達が魔剣でバッサバッサとやってくれるから、俺たちがどうこうなる訳じゃないから安心しな。まぁ、お前は新参者だから、後方で俺たちの華麗な動きを見て勉強するんだな。』 僕は側にいた新参者の仲間の栗毛に尋ねた。 『…なぁ、君は魔物って見たことあるか?』 栗毛は相変わらず僕を胡乱な眼差しで見つめると、ボソボソと話し出した。 『…一度だけある。牧場の近くに現れたんだ。馬丁達が大鎌を持って、ズタズタに引き裂いてたけど。ちょっとエグかったな。仲間達は皆怯えてたけど、まぁ幼かったからしょうがない。』 僕は馬丁でさえ退治出来るのなら、騎士達にとっては朝飯前だろうと踏んで、さっきよりも気楽な気持ちで魔物退治を迎えることが出来たんだ。 それに元人間の僕にとって、魔物の響きは厨二病を刺激した。僕はすっかりウキウキとして前脚で土を引っ掻いた。おっと、いけない。馬らしく行動しちゃったぜ。 でも、それがあんな事になるなんて、神様は僕に一体どれだけびっくり箱を用意すれば気が済むんだろうね?
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