知ってたの?

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知ってたの?

僕は軽い口調で話していたけれど、実際は心臓がドキドキとして緊張していた。僕の秘密を知って、ウィルがどんな反応をするのか全然分からなかった。 ウィルは立ち上がると、僕に手を伸ばして抱き上げた。そしてベッドへ腰掛けると、僕を膝の上に乗せてぎゅっと抱きしめた。僕の耳元でウィルは言った。 「ハル、今まで私に本当のことを言えずに辛かっただろう?すまない。もっと早くに私から言うべきだった。…私はハルがフォルなんじゃないかって気づいてたんだ。」 僕は耳に入ってきた言葉が信じられなくて、パッと身体を離してウィルを見上げた。 「知ってたの⁉︎」 僕はびっくりして、緊張も何処かに吹き飛んでしまった。 ウィルは罰の悪い顔をして、僕がビッツやリーダーと馬場で話しかけた言葉を聞いてしまって、それ以来僕がフォルなんじゃないかと疑っていたと話してくれた。 「ハルが隠したいのに、無理やり聞き出すのもどうかと思って、打ち明けてくれるのを待とうと思ったんだ。そうするうちに密偵の疑いで取り調べを受けただろう? 私はもしハルが馬のフォルならば、きっと居ない間のことを証明できないかもしれないと思って、どうしたものかと色々考えて根回しするところだったんだ。 結局そうする前に釈放されて、ハルが密偵なんかじゃないって黒騎士だって分かってくれたのが本当に嬉しかった。そして私の元に戻ってきてくれた。…幸せだ。」 僕は何だか張り詰めていた気持ちが緩んだせいで、涙声になりながら尋ねた。 「う、ウィルは、グスっ、僕が気持ち悪くない?グスっ。」 するとウィルは、僕の顔の涙を唇でなぞりながら囁いた。 「ハルは覚えてないの?私はフォルのこと大好きなんだよ。あんなに可愛い馬は見たことがないからね。ふふ。でもハルがフォルとして、私の事を命がけで一生懸命助けようと頑張ってくれた事を思うと…。 ああ、本当に無事で良かった。ハル、馬だからって無茶しちゃダメだよ?」 そう言って、僕の唇を甘く啄んだ。僕は胸の奥がウズウズとウィルを愛する気持ちでいっぱいになって、ウィルの顔を両手で挟むと熱いキスで返した。 顔を離すと、とろけるような壮絶に色っぽい眼差しでウィルが僕を見つめて言った。 「ハル、私に火をつけたね?今夜は寝かさないよ、覚悟して?」
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