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僕は目の前の二人が見るからに固まったのを感じた。僕は愛想笑いをしながら、隣のウィルを見た。ウィルは困った顔で僕を見た後、騎士団の指揮官と副指揮官に言った。 「今、ハルマが言った事は本当だと思います。実際、いつもハルマとフォルは一緒には存在していません。それは副指揮官が良くご存知でしょう?」 副指揮官は大きくため息をつくと、僕をじっと見て言った。 「…そう言われてみると、最初からフォルは変な馬だった。こちらの言う事は何でもよく分かってるし…。そうか、あの怪物の時も皆を助けようとしたんだな⁉︎」 僕はあの怖い怪物の事を思い出しながら言った。 「ええ、あの怪物は僕の世界にいる動物によく似ていたんです。だからもしかして習性も一緒かと思って。狙いを定めたら真っ直ぐ突き進んでくる筈だって思ったんです。一種の賭けでしたけど。 今思えば随分無茶したと思います。でも、僕馬になっちゃうと、あまり細かい事は気にならなくなっちゃって。」 僕がそう言うと、指揮官がボソリと言った。 「じゃあ、あの戦闘の際、フォルがウィルを助けた時は、実際何が起きてたんだ?」 僕はウィルの方を見つめてニコリと微笑むと、真剣な顔で指揮官を見つめて言った。 「あの時、僕たちの後ろから援護が来たと思ったんです。でも騎士の長い槍がウィル目掛けて振り下ろされるのが視界に入ったんです。ほら、僕の視野は全方向見えますから。 僕は咄嗟に騎士の乗った馬を突き飛ばしました。その馬には敵に捕まった後、随分目の仇にされましたけどね。…話が逸れました。取り敢えず怪我をしたウィルを預けた後、僕はさっきと同じ味方に扮した敵を見つけたんです。 彼らは後ろから合流しようとしていました。僕は思わず彼らのところまで戻って、進路妨害したんです。その時に捕まってしまいましたけど。僕は手綱を取られたら流石に逃げ出せません。 敵陣のアーサーという騎士は僕が戦に出たら、こちらに逃げるだろうと警戒して結局人間に戻るまで逃げ出せませんでした。後は皆さんがご存じの通りです。」 僕がそう説明すると、皆がシーンと静まり返った。そして指揮官が僕の手を両手で握って言った。 「ハルマ、いや、フォルにはお礼を言っても言い切れないな。もしフォルの妨害がなければ、戦況もどうなっていたことか。ありがとう、フォル。いや、ハルマ?あー、どっちだ⁉︎」 僕たちは皆んなで弾けるように笑ったんだ。
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