あれ!あれれ!?

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あれ!あれれ!?

どれだけ時間が経ったのか…。僕は泡立つ小さな水音で目を開けた。そして水の冷たさに飛び起きた。 「うわっ、冷た!」 僕は、しゃがれた自分の声にびっくりして口を押さえた。え?あれ?どういう事?僕は目の前に手のひらを差し出した。人間の手だ。僕、人間に戻ってる? 少しだけ疲れの残った身体でゆっくり立ち上がると、僕は二本足で立っていた。今までの目線より低いので変な感じだ。僕は魔物の血飛沫で汚れた手足に顔を顰めると、泉の流れの下流に足を踏み入れて、腰まで浸かって身体を洗い始めた。 魔物の血は綺麗な水であっという間に流されて、僕はすっかり気分が良くなった。髪も洗おうと、透明な泉に潜った。シャンプーしたいけどしょうがない。騎士団の証のちょんまげはリボンを解いて洗った。 もしかして僕、馬臭かったりしてね。ああ、やっぱり石鹸が欲しいな。そう思って、ぼんやりと周囲を見回すと、石鹸の実によく似た木の実があった。小学生の頃、公園でよく石鹸の実を潰して泡立てて遊んだんだ。 僕はダメ元でその木に手を伸ばしてひとつ実を潰してみた。すると、びっくりするほど泡立ったんだ。これはほとんど石鹸でしょってくらい泡立つので、僕はそれを数個採ると泉に持って戻った。 僕は鼻歌混じりで、身体中を石鹸まみれにしてよく洗った。馬の時も良く手入れしてもらってたから、そんなに垢があったわけじゃ無いけど、やっぱり石鹸のさっぱり感には負ける。 髪も少々軋んだけどベタつきがなくなって、さっぱりした。っていうか、僕髪が長い。穴に落ちる前に長めのヘアスタイルだったせいで、今の僕は肩ほどになっていた。 僕は泉に顔を映して見た。そこには懐かしい人間の僕がいた。僕は込み上げる笑いと涙で、精神的にヤバい人みたいになってしまった。 僕は馬生活はそれなりに楽しんでいたけれど、やっぱり人間が良いや。でもここは何処だろう。あと、僕真っ裸だ。馬の時は裸でも関係ないけれど、流石に人間に戻って素っ裸てのは心もとない。 でもこんな森の奥に、人間の使う様な布切れなど有るはずもなかった。僕は苦肉の策で、柔らかなツルを選んで交互に編み込むと、簡単なチン隠しを作って腰に巻きつけた。 隠れてないかもしれないけれど、これは気持ちの問題だ。原始人でさえ腰に毛皮を巻きつけていた絵を見た事がある。急所は保護するべし。その時、こちらに近づく枝を踏む何かの足音がした。 僕はハッとしてその音の主が現れるのを木の影に隠れて待った。ああ、魔物だったらどうしよう⁉︎
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