騎士団に到着

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騎士団に到着

騎士団の馬場に到着した僕と栗毛は、ロイさんに引かれて厩舎へ連れて行かれた。清潔感のあるこの場所は、ひと目で気に入った。フカフカのワラもぎっしりだし、清潔そうな桶に水もたっぷり。 そしてさっきすれ違った人間が手に持っている桶の中に人参がぎっしり。あ、僕はりんごでも全然良いんだよ?でもまだシーズンじゃないか。 僕はさしずめ人間ならニヤニヤしていただろうけど、なんせ馬だからね。ご機嫌で時々後ろ足で立ち上がっちゃったりなんかしてた。ロイさんは僕を見て呆れた様に笑ってたけど、隣の栗毛はマジで引いてた。ほんとこいつノリが悪い。 僕たちは馬丁達に丁寧に旅の汚れを落としてもらって、ピカピカになった。しかも頭のてっぺんのたてがみを編んで、お団子の様な飾りをつけられた。結構カッコいい。あ、栗毛の頭見たんだけどね。自分じゃ見られないし。 僕たちが仲間の先輩達に挨拶した後でのんびりしていたら、夕方近くに数人の騎士達がやって来た。その中に選考会に来ていた副指揮官が居た。僕はポクポクと彼の側に行って顔を突き出して挨拶した。 ここに来れたのは彼のおかげだもんね。サンキューって。副指揮官はちょっと驚いた素振りで僕を撫でると、振り向いてこちらを見つめる騎士達に説明した。 「この馬は特別かもしれん。半年も前に選考会で会った私の事を覚えていたらしい。ロイも絶対この馬を手に入れるべきだと太鼓判を押していたから、少し無理を押して買い付けたのだが、正解だったな。」 うん、うん、僕は恩を忘れない馬だよ?ふふふ。そう思いながら僕を見つめる騎士達を観察した。そして僕はこちらを見つめる騎士の一人に釘付けになった。 まだ若いその騎士は、スラリとした身体付きで、耳までのクセのある金髪を揺らめかせながら、緑色の瞳で僕をじっと見つめていた。僕はドクリと心臓が震えた。めっちゃタイプ。 僕が人間だったら、こんなイケメンと付き合いたかった。何歳ぐらいかな?22、3歳って感じ?でも外国人って結構老けて見えるから、案外僕の人間年齢の19歳より若かったりしてね? 僕はヨダレを垂らしていたかもしれない。その騎士はクスッと笑うと、僕に手を伸ばして優しく撫でると言ったんだ。 「この黒馬を、私の馬にします。」
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