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離宮に着くとイヴェットはすぐさま6人の衛兵に囲まれた。
「これは一体……」
「私は記録の確認にここを離れなければならないので、護衛を」
「多すぎませんか?」
王族だって普段は1人か2人程度だろう。
「起こったことがことなので。念のためです。そう長い期間この人数ではないのでしばらく息苦しいかもしれませんがご容赦頂ければ。……その、あなたが心配なのです。どうしても」
真摯に見つめられそんなことを言われてはイヴェットにはもう受け入れるしかなかった。
「わ、わかりました」
その言葉にフランシスはあからさまに嬉しそうな顔を隠そうとしない。
イヴェットは心の中で白旗をあげた。
(この騎士団長様は危険すぎるわ!)
敵と対峙するときは鋭い剣のような雰囲気をまといその背中は盾のようだった。
しかしこういう時、かわいいと思ってしまう。
心を開いてくれているのを感じるから、イヴェットもフランシスをどんどん信用している。
そして信用以上にもっと一緒にいて相手の事を知りたいと思い始めていた。
「私は大丈夫です。こんなに良くして頂けるのがなんだか申し訳なくて」
「あなたを守れるのなら役得でしょうね。本当は私がずっとおそばにいたいくらいですから」
冗談だと分かっていてもドキりとする。
今までイヴェットに勘違いさせるような言葉を向けた人はいなかったのだ。
(私に恋愛方面の耐性がないことは分かっているわ! 分かってはいるのだけれど……)
気のある言動というのは絶対に自分の勘違いなのだ。
そうやって女性に迫られて困っているとかつて彼自身が言っていた。
(何度も命を助けてもらっておいて困らせる事だけは絶対にできないわ)
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