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「何年?」
「二年のお……同じクラス、です」
消え入るような声を拾って教室を思い浮かべるがピンと来ない。
「名前は?」
「村上……です」
呟いて村上は潰れて伸びた焼きそばパンに隠れた。
「悪ぃ。わかんねぇわ」
名前を聞いたところでピンとは来ず謝ると、村上はびっくりしたような顔をしてからなぜか微笑む。
「何だよ」
「いえ」
「笑ってんだろ」
「だって……イメージと違うから」
くすくすと笑って村上はハッとする。
また縮こまる村上を見てその頭を軽く小突いた。
「……やっぱ俺、怖いか?」
パンを飲み込んで尋ねる。
村上はどう答えたらいいものかと逡巡しているらしい。
「……だよな」
パンを持ったまま木の幹に凭れかかった。
目を閉じてもう慣れたはずの言葉を待つ。だが、
「……思っていたより、優しくて……嬉しいです」
「は?」
怖いだの、無理だの、勘弁して下さいだの……身構えていた言葉とは違い過ぎて目を開いたまま固まってしまった。
「僕……いつもクラスでも一人、だったんで……一緒にお昼食べられるなんて……嬉しかったんです」
俺の前でこんな穏やかに笑うなんて……。
「俺も……」
思わず本音が溢れると村上はパァッと笑みを広げた。
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