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「おい、足元ゆるいぞ。気をつけろ」
ダンは前を走るルークに声をかけた。
「わかってる!」
身軽なルークはヒョイヒョイとゴミの山をかき分けて進む。
ゴミが蓄積するとメタンガスが発生する。ガスが貯まれば足場が緩む。踏み込んで高熱のメタンガス噴射を喰らえば、人間の体など一瞬で消える。
歩くだけでも命がけなAWの人々にとって、天の門が開かれ廃棄物が落ちてくる時間は施しの時間でもあった。
農作物が育つような環境ではない。BWから流れ込んでくるゴミで命をつなぐ。
不衛生環境下、病を拾えば治すすべなどない。まさに「pest」の生息環境と呼ぶにふさわしい場所で、それでも人は生きていた。
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