75人が本棚に入れています
本棚に追加
アングラのリーダー
「またそんな変なもんばっか拾って! 食えるもんを探せって言ってんだろ?」
電子部品を拾って歩くダンに、ルークは苦言を呈した。
「いいんだよ。お宝は人それぞれだ」
ダンは腰を伸ばして空を見上げた。
青い空に伸びた長いアームの先から、吹き出すように廃棄物が流し込まれている。
「アイシャだ!」
ルークが指さした。
過酷なこのAWで生きていくために人々は結託した。
かつての放射線処理施設を根城とする最大勢力「under ground」を束ねているのがこのアイシャだった。
20代後半かと思われる若い肢体はしなやかで黒ヒョウを彷彿させる。褐色の肌に燃えるような赤い髪。緑の瞳がダンを捉えた。
「ダン!」
嬉しそうに近づいてくるアイシャに、ダンは手を上げて応える。
「40過ぎのくたびれた研究者」ダンはそう自称していたが、アイシャがダンを見つめる目は恋する乙女のそれだった。
最初のコメントを投稿しよう!