アングラのリーダー

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アングラのリーダー

「またそんな変なもんばっか拾って! 食えるもんを探せって言ってんだろ?」 電子部品を拾って歩くダンに、ルークは苦言を呈した。 「いいんだよ。お宝は人それぞれだ」 ダンは腰を伸ばして空を見上げた。 青い空に伸びた長いアームの先から、吹き出すように廃棄物が流し込まれている。 「アイシャだ!」 ルークが指さした。 過酷なこのAWで生きていくために人々は結託した。 かつての放射線処理施設を根城とする最大勢力「under ground(アングラ)」を束ねているのがこのアイシャだった。 20代後半かと思われる若い肢体はしなやかで黒ヒョウを彷彿させる。褐色の肌に燃えるような赤い髪。緑の瞳がダンを捉えた。 「ダン!」 嬉しそうに近づいてくるアイシャに、ダンは手を上げて応える。 「40過ぎのくたびれた研究者」ダンはそう自称していたが、アイシャがダンを見つめる目は恋する乙女のそれだった。
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