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アイシャの能力
ダンの作った小型カメラ搭載の偵察機が、ヤモリのように壁を登っていく。
薄暗いバラック小屋の中に、モニターの青白い光が広がる。
「AWに来てすぐに『mold』と出会えたのは、俺にとって幸運なことだった」
大事なことを思い返すようにダンは呟いた。
「その呼び方やめてよ。moldだなんて失礼だわ」
アイシャはツンと鼻を突き上げた。
「天界人はそれだけお前のことを恐れていたんだ。いつの間にやら侵食されてプログラムを壊していく。侵入経路は特定できず、根絶の目処は立たない。狙われたら最後、為す術もない最凶ハッカー。コードネーム『mold』」
「ふふん。そう聞くと悪い気はしないわね」
アイシャは機嫌を直して微笑んだ。
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