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スキップ商店街
電車を降りると冬の東京らしい乾いた風がホームを吹き抜けた。
2月の中旬、先月に比べれば日差しに多少暖かさが増した気はするけれど、吐く息はまだ白い。
ホームの雰囲気が記憶に残る光景のままで、その懐かしさに口元が緩む。
高校卒業後に一度だけ母校の元担任を訪ねた記憶があるから、この駅を利用するのは11年ぶりぐらいだろうか。
十代だった頃の自分の姿や、あの時抱えていたアオハルならではの心の葛藤をあれこれ思い出しながら北口改札を出た。
駅前から真っすぐに伸びる『スキップ商店街』へと足を進める前に、さらに懐かしさに浸ろうと駅舎を振り返ってギョッとした。
駅舎が激変している!
改装ではなく全て建て替えたのではないかと思うほどの変わりように言葉を失った。
郊外のこぢんまりとした、良くも悪くも小汚い駅だったはずが、妙に近代的でおしゃれな外観に変わっていた。
昔のなごりを色濃く残すホームとのギャップが激しい。
結局、ノスタルジックな気分ではなく浦島太郎にでもなったような衝撃を抱えたままスキップ商店街の一角にある雑居ビルへと入った。
ここがスキップ商店街振興会の事務所だ。
「こんにちは。真鍋梨花と申します。本日14時から採用面接のお約束をしている者です」
受付カウンターに座る初老の男性に声を掛けると、彼も立ち上がって軽く頭を下げる。
「ああ、真鍋さんね。お待ちしていました。どうぞ奥へ」
奥といっても個室ではなく、カウンターの後ろにある長テーブルで面接になるようだ。
脚が折り畳み式になっているテーブルにパイプ椅子という取り合わせに懐かしさを感じながら、再びぺこりと頭を下げた。
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