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友達
あれから女がよく来店するようになった。女もここが心地いいのか、俺にも少しずつ話をしてくるようになった。
女は、神楽坂 紫 高校2年だった。俺と同級生だった。夢はピアニストだが父親に反対されているらしい。彼女は親の言う事を素直に聞くような性格じゃなかった。自分の道を人に決められるのは絶対嫌だといっていた。
彼女の悩みは俺には経験しない悩みで少し笑ってしまった。
彼女はそれを見て怒っていたが、俺には両親がいないから贅沢な悩みだと言ったら黙って謝られた。
俺は人間不信からみんなとクラスでも距離を置いていた。こんな話をするのも始めてだったから俺も紫に気を許していたんだろう。
この場所のおかげなのか俺も紫が唯一の友達になっていた。
ある日、最近よくカフェにくる客の男に突然声をかけられた。
「モデルのバイトしない?」
金になるならと思い、ここのバイトの合間でいいならと了承した。
そしてモデルのバイトを始めた。モデルのバイトは愛想笑いの得意の俺は問題なくこなしていた。
幸い俺をひきとっているあつらにはバレていなかった。
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