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そんなお母さんの話を聞き、僕は魔女のおばあさんに会う為、家を出た。とても真剣な眼差しをしていたお母さんが、嘘や冗談を並べている様には思えなかった。だから、僕はそれを信じて、ウィーラッチの家を目指す。
学校に馴染めず孤立した六歳の僕、アンリーヒは自分を変えたくて、新しい一歩を踏み出した。この時の僕に、これから何が起こるのかを知る由も無かった。
天から降り注ぐ雪を浴びながら、僕は白く染まった田舎道を歩いていく。点々と建てられたレンガ造りの小さな民家や、その周辺に広がる牧場や畑を通り過ぎていった。
それからしばらくして、読みにくい手書きの地図を頼りに、僕は崖の上までやって来た。
おかしな形をした、カラフルで風変わりな三角屋根の家を見上げ、僕はゴクリと唾を飲み込む。どこか異質なオーラを放つ、この小さな屋敷は、いかにも魔女の屋敷だ。
蛇の形をしたドアノッカーで扉を叩き、僕はウィーラッチの家へ足を踏み入れる。
「お、お邪魔……します」
「はーい……さあ遠慮せず、もっと中へお入り」
奥の方の部屋から、優しそうなおばあさんの声が聞こえてきた。玄関には、サイズの異なる靴がいくつか並べられている。
その隣へ脱いだ靴を置くと、僕は曲がりくねった細長い廊下を進んでいく。そして、目の前に現れた開きかけたドアの向こうを、僕はひっそりと覗き込む。
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