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「おはよう坊や……悩みを相談しに、ここへ来たのだろう? 風邪をひくといけないから、早くこっちで体を温めな」
再び僕に話しかけてきた、声の主は驚きの容姿をしていた。虹色の長い髪を、噴水の様な形で頭の上で束ね、個性的なひらっとしたワンピースを身に纏っている、派手なおばあさん。一目見れば、普通の人間でない事は明らかだった。
「あっ、はい……そうです。ちょっと、お話がしたくて……あ、貴方がウィーラッチさんですか?」
「ああ……いかにも私が、ウィーラッチさ……悪いけどね、見ての通り先客がいるから、坊やはそこのソファーに座って待っていてくれるかい?」
キッチンから僕にそう返事をする、ウィーラッチの前にはテーブルがあった。そこには、肉付きの良い丸々と太った女の子が腰を掛け、ウィーラッチと向き合っている。
そこから少し離れた壁側には、複数のソファーがあり、子供から大人まで様々な人が座って順番待ちをしていた。まさか、こんなにもウィーラッチに助けを求める人が居るなんて、驚きだ。
僕は入口の直ぐ側に置かれた、一人掛けのソファーに腰を下ろす。そして、ふくよかな女の子の悩みを、ウィーラッチがどう解決していくのか眺める事にした。
「あ、あの……私、痩せてスタイル良くなりたいんです」
そう発する女の子に、ウィーラッチは穏やかな口調で尋ねる。
「そうかいそうかい……何故、お嬢ちゃんはそう願うんだい?」
「じ、実は私……この体型が原因でいじめられて、不登校になっちゃったんです」
「なるほどねぇ……それは辛かったね。でも、もう大丈夫さ……後は私に任せなさい」
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