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大きな鍋を、ウィーラッチはグルグルとかき混ぜる。そんなウィーラッチに、女の子は必死に頼む。
「お、お願いしますっ! 自分に自信を無くした上に、人間不信にまでなって精神病院に通っている状態なんです……何でもしますから、どうか助けて下さい」
「ああ、ここへ来たらもう安心さ……まずは、このスープをお飲み」
グツグツと音を立てる鍋から、皿に盛り付けたスープを、ウィーラッチは女の子に差し出した。それを目にし、不思議そうに首を傾げる女の子に、ウィーラッチは説明する。
「……このスープにはね、私の魔法がかけられているのさ。痩せられるおまじないをかけておいたから、あんたの体脂肪はどんどんと減っていくよ」
「あ、ありがとうございます……いただきます」
ウィーラッチの作った魔法のスープを、女の子は嬉しそうに口へ流し込む。あれだけで、女の子の体がスマートになるのだろうか。
魔女なんて、おとぎ話の世界だけの存在だと思っていたけど、こんな身近に住んでいたんだな。
「お次は、魔法のアイテムだよ。この美の指輪をはめれば、あんたは自分の理想通りの姿へ大変身する事が出来る。これは、私からのプレゼント。いつでも、しっかりと身につけておくんだよ」
どこからか取り出した光り輝く指輪を、ウィーラッチは女の子に手渡し、言葉を続ける。
「……さて、ここからが大事だから、よくお聞き。まず、朝起きたら、鏡で自分の顔を十分間、見つめなさい。その時に、自分の治したい顔のパーツをマッサージするんだよ。可愛いねって、褒めてあげながらね。これを、寝る前にもする事。整形なんざしなくとも、気づけば顔が変わっているはずさ。それからねー、食事は腹八分目くらいにして、間食も控えるんだね。陽の光を浴びながら、ウォーキングや縄跳びなんかの、軽いストレッチもすると健康の為にも良いからね……どうだい? 簡単だろう? 分かったかい?」
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