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第一章 魔女に救いを求める迷える者
凍える小さな町を、朝日が照らし始める。寒空の下にある、レンガ造りの小さな一軒家のカーテンが開かれ、僕は目覚めた。
「……あのね、お母さん……もう僕ね、学校に行きたくないよ」
布団にくるまりながら、僕はため息交じりに本音を吐き出した。それは、学校に居場所が無い僕の心からの願いだった。涙で顔を濡らす僕を見下ろし、お母さんは温かな瞳を向け優しく尋ねてくる。
「……どうして? 学校で何か嫌な事でもあったの? 隠さず、正直に教えてちょうだい」
「僕ね……友達が居なくて、いつも一人ぼっちなんだ……入学してからずっとね」
「そうだったのね……お母さん、知らなかったわ。だけど、それが原因で不登校になっても困るから、その問題はしっかりと解決しないとね」
お母さんは穏やかな口調でそう発し、「少し待ってね」と言うと、僕の部屋から出ていった。それからしばらくして、こちらへ戻ってきたお母さんが、僕へ一枚の紙切れを手渡す。
「アンリーヒ……今日は学校を休んでもいいから、ここに行ってきなさい。崖の上にある、ウィーラッチと言う魔女が住む家よ」
「ウィ、ウィーラッチ? 魔女? ……何それ」
古びた手書きの地図を眺めながら、僕はお母さんに質問した。何が何だか、訳が分からないよ。
「……そこの崖の上にはね、一人暮らしのおばあさんが居るのよ。そのおばあさんに、私は昔、助けてもらった事があるの。いじめられて学校へ行けず、辛く苦しんでいた日々を、魔法で良い方へ変えて頂いたわ……信じられない話かもしれないけどね、ウィーラッチさんは本物の魔女なの。あの人ならきっと、貴方の事も救ってくれるわ」
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