福音の子

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ある日、神父様が家に来た。 「ジャンヌ外に」 私は兄に外に連れ出された。 「ママといたかった」 家に戻ろうとすると「ダメ」とひき止められた。 家に帰るとママは泣いていた。 神父さまは悪い人だ。 次の日、私は家の隣にある教会に行った。 神父様にママをいじめないでって言うために。 教会には誰もいなかった。 そう言えば今日は鐘の音を聞いていない。 教会の奥の祭壇で凍りついた人が膝まづき 祈りを捧げていた。 神様? 私はそのおじさんの隣に行って顔を覗き込んだ。 凍りついた人は目を閉じ動かない。 「神様ですか?」 私がそうたずねると口が動いてないのに 声がした。 ─私は聖霊の父だ─ 凍りついたその顔はどことなく父親に似ていた。 お父さん(パパ)? 神様? 「なにしてるの?」 ─大事な人のために祈ってるんだよ─ その表情は凍りついているのに なぜか悲しそうに見えた。 ─ジャンヌ聞きなさい─ 「おじさん私を知ってるの?」 ─よく知ってる─ ─聞きなさいジャンヌ─ ─妖精の森には決して近づいてはいけない─ 「どうして?」 ─その道は怖い場所に通じてるからだよ─ ─約束してくれるかい─ 「うん行かない。約束する」 ─もう戻りなさい─ 「どこに? お家?」 ─君が本来いる場所に─ 「うん」 ジャンヌは頷いて走って家に帰った。 ─3─ 【ジャンヌの父親はジャンヌを溺愛してたという。 ───────されたあと、 その後を追うように他界している。】
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