寂しい3日間

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 時計を見ると、もう午後9時を回っていて、足早に家路へ向かう。ここ1ヶ月程、激務が続いていた。勇がいるため、出来るだけ定時に上がれるように、日中は仕事を詰め込んで、休日出勤する事もあった。だけど、特にこの1週間は、残業することも多く、幸司にもだいぶ負担をかけた。  勇はもう寝たかな…… 幸はテスト前なのに悪かったなぁ……  そんなことを考えていると、冷たい風が吹き込み、ブルっと体が震えた。    翌朝起きると、喉の違和感があり、唾を飲み込むと激痛が走る。体を起こすと、重く、気だるい。 まずい……やっちゃったかな…… ちらりと横を向くとまだ、勇が寝息を立てている。重たい身体を気力で動かし、勇を起こさないようにそっと部屋を出た。リビングでは、幸司がすでに起きて朝の用意をしていた。 「おはよ……ん?大丈夫?顔色悪いよ」  なかなか……するどい…… 「ん?ん~」 「具合悪んだろ。父さんは、調子崩すとすぐ熱出すから!」そう言うと、体温計を押し付けられる。  ピピピッ……  36.8℃……寝起きでこの体温……ちょっと、いや、だいぶマズイか…… 元々体温は低く、特に寝起きはいつも35℃ちょっとしかない。 「何度?」 「ん~、36℃……」  すかさず、幸司に体温計を奪われ、睨まれる。 「ったく、何で子どもっぽいウソつくんだよ!!」 「ス……スミマセン……」 「確か昨日で、ひと段落ついたんだよな。今日仕事休めないの?勇のこともオレがやるし」 「そうだったんだけどね……今日は朝、顔出さないとまずっくって。でも、午後から半休取って帰って来ることにするよ」  心配そうに見つめる幸司の肩を2回叩き、身支度を始める。 「勇、ゆーう」  布団をたたかれて、目が覚める。 「幸兄ちゃん……?」  カーテンと窓を少し開けている、幸兄ちゃんがいる。 「おはよ」 「おはよう……ゴザイマス」  あれ?幸兄ちゃん?いつもは広くんが起こしに来るのに……  隣の布団にも広くんの姿はない。 「父さんは、ちょっと風邪気味みたい。勇にうつさないようにって」  幸兄ちゃんの手が頭に乗り、撫でられる。 「ちょっと窓開けて、空気の入れ替えしてるから、早く着替えて降りておいで」  そう言うと、幸兄ちゃんは行ってしまった。  なんだろう……なんだかモヤモヤ……すごく寂しい……
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