寂しい3日間

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早めに出勤して、昨日やり残した仕事を手早く片付ける。昼前には大方片付き、残りは部下にお願いして、半休を取って何とか午前診療に間に合った。 「急性扁桃炎ですね」  やっぱり思った通り……  小さい頃から扁桃腺が弱く、大人になった今でも、風邪や疲労で扁桃炎になることがある。あれから、グングン熱は上がり、病院で再度測ると38℃を越えていた。点滴を打ち、薬をもらって帰宅し布団に入ると、すぐに深い眠りについた。 「父さん、父さん……」  幸司に呼ばれて目を覚まし、時計を見ると7時を回っていた。どうやら、5時間程寝ていたようだ。 「どう?具合は?……はい、ポカリ」  ポカリを口に含むと、冷たくて気持ち良かったが、飲み込むのはしんどい。 「煮込みうどん作ったけど、食べれそう?あと、着替えと濡れタオル持ってきたから、着替えた方がいいよ」 「ああ……悪い……」  戸口の方に目をやると、勇がいた。幸司に部屋に入るなと言われているのだろう……様子を伺うように不安な顔で覗いてる。 「うどんはここに置いておくから、食欲がなくても少しは食べなよ。あと、しばらく勇はオレの部屋で寝かせるから」  テキパキと動く幸司を見て、頼もしくなったなぁ……と感慨深く見つめる。 「じゃあ、何かあったらケータイ鳴らして」  そう言うと勇の布団を持って部屋を出て行く。 「広くん……大丈夫?」 「今は、ちょっと熱高いけど、お薬飲んで寝てたら、すぐによくなるよ」 「本当?」 「ああ。だから、そんなに心配すんなって。でも、勇にうつったら大変だから、今日からオレの部屋で寝ような」 「……うん」  幸司の手が、勇の頭の上にのる。 そんな2人の様子を申し訳なく、そして微笑ましく見ていた。  1日目こそ、39℃まで熱が上がったが、2日目には37℃台まで下がり、3日目にはほぼ平熱に戻った。ただ、一番かかりやすい年齢の勇にはうつしたくなくて、なるべく部屋から出ないようにし、会話も極力避けていた。  もう、喉の痛みもなくなってきたし、明日から通常の生活で大丈夫だな。勇にもだいぶ心配させちゃったから、明日は大いに甘やかそうかな……そんなことをぼんやりと布団の中で考えていた。
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