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12時を過ぎて、明日も普通に学校があるからそれぞれに、布団に入って寝ることにした。でも、オレは全然寝付けなくて、このまま寝たらヤバイ気がする……と何度もトイレに立ってしまう。この1時間くらいに、もう3回もトイレに行っていた。トイレから戻ると、寝ていると思っていた幸也が声をかけてきた。
「眠れない?」
「あ、悪い起こした?」
幸也は、すでに上半身体を起こしていた。
「いや……もしかして心配?」
図星をつかれて、一瞬黙るが、もう幸也に隠し事できないのは知っているので観念する。
「え……あ……うん。今朝のこと思い出しちゃうとね……」
それに、幸也の家で失敗する訳にはいかないと思うと、なおさら怖くて眠れなかった。そんなオレの状況を察したのか、幸也は起き上がって電気をつけると、クローゼットを開け始める。
「じゃあ……これ……まあ、嫌じゃなかったら……」
そう言って、クローゼットの中から取り出した、何か折りたたまれたものを前に出す。
「これは……?」
一瞬、オムツかと思ったけど、それよりはかなり小さくて、違うようだ。
「パット……パンツにつけて使う……1回分なら吸収してくれる……」
「えっ……」
「嫌なら無理にとは言わないけど、これしてたら布団を汚さないっていう安心感があるから……僕も本当にヤバい時に使うようにしてて、でも使うと不思議と大丈夫なこと多いんだよね」
「幸也……」
「僕さ、中3の受験前、けっこうやばかったんだよね。まぁ、今だから言うけど、おねしょも毎日のように続いてさ。メンタル的にも相当参ってて……そんな時に智さんがパット買ってきてくれて、オムツは流石に抵抗があったんだけど、パットなら思ってたよりずっと薄かったし、まだ使いやすくて。布団濡らさなくなったら、少し気持ち的にも落ち着いて、回数も減ったんだよね。今は、お守りがわりって感じかな……」
幸也から受け取ったパットは、確かにオムツと比べるとずっと薄い。抵抗が無いわけではなかったけど、幸也の家で失敗するより、ずっといいと思って、使ってみることにした。使ってみると、少しゴワつくのが気になったけど、これで布団を汚すことはないと思うと、気持ちがかなり楽になった。
それでも、眠りは浅くて、朝の5時には目が覚めて慌てて布団を確認したけど、布団はもちろんのこと、パットも濡れてはいなくて、ホッとする。隣のベットで、気持ちよさそに寝ている幸也を見て、やっぱりコイツには敵わないなぁと思う。
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