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「少しは落ち着いたか?」
「あ……はい」
「お母さんのことは、お父さんとちゃんと話したらいいと思うよ。お父さんは、勇のこともだけど、コウ、お前のことも心配してたよ」
先生と父さんは、勇のことで今まで話をしていたようで、その中でオレの話もしていたようだ。父さんは最近、オレの様子がおかしいことに気づいていたらしい。
「お父さんは、お前から話してくれるまで待つって言ってたよ」
「えっ……」
「お前は、心配かけないようにしていたのかもしれないけど、話して貰えないのほうが、苦しい場合もあるんだよ」
「父さんに話してないのは、心配かけたくないのもあるけど……えっと……その……今の自分が情けないというのもあって……」
「勇を見てると、昔を思い出して、漏らしちゃう?」
「え……あ……知ってた……の……?」
もしかしたら、バレてるかもとは思ってたけど、ハッキリ言われてしまうと、恥ずかしくて、情けなくて俯いてしまう。
「そんな顔するなよ」
「でも、もう高校生なのに……」
先生は、そんなこと何でもないというよに軽い口調で言うけど、小学生の頃とは違う……
「コウ、メンタル部分と排泄器官は関係してると思うんだよね。緊張したらトイレが近くなったりするだろ。それが、コウや勇には強く出ているのかも。もしかしたら、トイレは失敗しちゃいけないと強く思い込んでいることもあるのかもな」
「先生。オレはどうしたらいい……?」
「ん?考えすぎないことかな。今は心が疲れているから、失敗しても仕方ないって受け入れることも大切。あとは話せるならお父さんには話して、家での緊張を減らしたりとか。バレないようにと思うと常に気を張ってしまうだろ?」
「……う……ん」
「でも、お前には心強い味方がいるしな。それだけでもかなり違うと思うぞ。なっ、ユキ」
幸也の方を見ると心配そうな顔をしている幸也と目が合い、昔のようにヘヘッと笑って「まかせて」と言う。そんな幸也につられて笑い、父さんにも話してみようかと思った。
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