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落ちこぼれ
「がはっ…」
立ち上がる、それと同時に激痛が走った。
今日もこっぴどくやられた
どうしてこんなことになってしまったのだろうか。
そんなことばかりが頭の中をよぎる。
俺の名前は影山羽留(かげやまはる)、地元でも有名な底辺高に通う一年だ。
この高校は、過去に様々な問題を起こしてきた愚劣な能力者が集められているがゆえに、偏差値がえげつなく低い。
…そう、能力者。
この世界には「アビリティ」というものが存在しており、それをいいことに使う奴もいれば、悪いことに使う奴もいたのだ。
しかし、この世界で俺だけには、アビリティなんてものは存在していなかった。
それを珍しがった医者や科学者に何度も調べられたが、結果は同じだった。
だからこそ、俺は問題を起こしてこの高校に入学したわけではなかった。
単純に学力が低かったのだ。
それどころか、運動神経もなければ、特別人に好かれやすいわけでもない。
結果、こんな風に虐めを受けているわけだが…
正直、何事にもやる気が出ない。
この「価値のない人生」を歩むことすら億劫だった。
双子の妹は死産、両親は三歳の時に事故で亡くした。
こんなことがあっていいのだろうか?
何をすればこんな人生を歩むことになるのだろうか?
答えは、分からなかった。
だからこそ…
俺は何も考えずに、生きていく。
死ねばいいという意見も、否定はしない。
ただ、あの事故の記憶に、薄れゆく意識の中両親に言われた言葉があった。
「強く生きろ」
そんなわけで、俺は何も考えずに生きていく。
どれだけ罵倒されてもいい。
これは俺自身の物語なのだから...
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