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翌年に京都の大学へ
戻った忠晴は、
学位を修め、教授となり、
三男二女の親にもなれた。
紀州に戻っても睦まじく暮らしたが、
働き者の嘉はやはり働き者で、
学問一筋の夫に代わり
林野を駆けて、田を駆けた。
あいも変わらず贅沢など望まぬ嘉が、
ただ一つ強請ったものは、
植物学に貢献した忠晴の
受勲の日の着物だけ。
忠晴が嘉の着物に描いた花は
賢婦人の裾を
慎ましくも誇らしげに揺らせた。
そして……
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