天涯の花

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「わたくしの両親も  たいそう感心してますわ、  “働き者”だって」 「勿体無い!そんなこと」 「山一つ越えても  あなたの評判は高いのよ。  それに“宗さん”だって  感謝してらした…  『嘉さんがおられなければ   兄貴はとうに死んでた』と」 「それは…鈴子様の父上様の  御配慮のお薬のお陰で」  「ああ、アレねぇ…軍には  薬なんて幾らでもあったのよ。  一般には渡らない値段に  釣り上げて、儲ける輩がいるから  あんなに病気が蔓延したのだわ。  無策もいいところ!  挙げ句は負けるを承知の戦争に  お金と命を注ぎ込んで…  全く愚かな数年だった」 男顔負けの批判に 嘉はただただ、 ポカンと口を開けた。    
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