天涯の花

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“正直の(こうべ)に神宿る” のままに…清き嘉の一願を 仏はゆるりと聞き入れて  「まず普通の生活は   問題ないでしょう」 予定の半年でその言葉を 医師に言わせ、一月(ひとつき)を 余分に体力をつけてから退院となった。 浜辺の散歩のせいか 彼岸花の咲く時分には やや日焼けも見えた忠晴を見て (ああ…ようやくに…  私の役目も終わった…) 安堵と…      言い現せぬ秋の風。 天高き青空の朝、 迎えの車がやってきた。
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