天涯の花

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 「“梅若”の上手投げは凄いぞ」  「いや、俺はなんと言うても   “薫風”贔屓や」  「今夜も行くか?」 ただでも娯楽の少ない上に 戦時統制下の村に 久々にきた明るい話題。 近隣の村からの客も来ての 大入り満員。   塀の向こうで交わす 雇人達の噂話は 忠晴を連日楽しませた。 そのとき    「“陽の花”の身のこなしは   男の相撲にはない可愛いさだ。   おまけにあの笑顔!!」 (笑顔…) と聞いた忠晴は (きっとあの娘だ!) 確信出来た。 (“陽の花”) 川辺に咲いた日輪。    
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