23人が本棚に入れています
本棚に追加
ドアを開けようとしたら、身を乗り出してきた悟の手によって制止された。今さら慌てたって遅いよ。
「ちょ、ちょっと待って!せめて理由だけでも教えてほしいんだけど」
「さっきからバカにしてる?指輪あげた人とどうぞお幸せに」
虚しくなるから言わないつもりだったのに。こんなこと言わせないで。
「え?指輪って」
「あぁ、もしかして指輪じゃなかった?だとしてもブランド品を贈った人と幸せに過ごして下さい。これ返すから私のも返して」
キーケースから一本の鍵を取り出して、固まっている悟に無理やり握らせた。
「……理沙、もしかして知ってたの?」
「うん。勝手に見てごめんね。でも、あんなところに隠した悟が悪いよ。隠すなら私に絶対見られない場所じゃないとダメでしょ。鍵返してくれないなら、あとでポストに入れておいて下さい。ここまで送ってくれてありがとうございました」
これで悟と話すのも最後なのかと思ったら、タメ口と敬語混じりの変な言い方になっていた。
最初のコメントを投稿しよう!