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この指輪を返す方法にも悩んだ。
無言で悟に渡せばいい?それとも何か言ってから渡すべき?
そんな時、私の太ももに置いておいたスマホのディスプレイが光った。実家に住む弟、孝之からの着信。サイレントモードだから音は鳴らない。
「……出なよ。孝くんからかかってくるなんて珍しいよね」
ごめんと断ってからタップする。
「もしもし、何?」
『母さんから聞いたんだけど、これからこっちに来るって本当!?』
電話越しにそんな大声出さないで。
耳が痛くなったし、きっと悟にも聞こえた。
「うん。悪いけど地元の駅まで迎えに来てくれない?」
『それは全然かまわないんだけどさ、悟さんも一緒に来る?』
「私一人。一緒に行くなら前もって連絡してるって」
弟の孝之は私よりも悟に懐いてる。
前に悟と実家に遊びに行った時、何がきっかけか知らないけど仲良くなっていた。
『そうだよな……。姉貴、もしかして悟さんと喧嘩でもした?いや、ほら、こんな時間に急に帰ってくるって言うから気になって』
このタイミングで返答に困る質問してこないでよ。
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