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実家には私の部屋はもうなくて、客間に布団を敷いて寝た。
逃げ出すように車を降りた時の悟の顔が忘れられない。困らせようと思って言った言葉。それなのに、想像以上に困った表情をされてショックを受けてる私はバカ。自業自得。
トランクからスーツケース出してる時に車から降りてきてくれてたけど、戸惑いながら「気を付けてね」って言われただけ。きっと嫌われた。
「理沙!いつまで寝てるの。大変なんだから早く起きなさい」
「起きてまーす。でも布団からは出ませーん」
日中なのは分かっていたけど、時計を見ていないから時間までは分からない。頭から掛け布団をかぶっていたのに、母親に勢いよく剥がされた。寒い。
「悟くんが来てるわよ。しかも、スーツ姿で薔薇の花束持って!」
「そんなわけないじゃん。分かった、これ夢でしょ」
そう、きっと私の願望。
「何を訳の分からないこと言ってるの!いいから早く支度をしなさい。いい加減にしないとここに悟くん連れて来るわよ」
「いいよ。それより布団返して」
次の瞬間、掛け布団が私の上に投げられた。
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