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足音が二人分近付いてきたと思ったら、聞こえてきた話し声。
「ごめんなさいね。あの子ったら何をやってるのかしら」
「いえ、急に来た僕が悪いんです。すみませんが少しの間だけ二人きりにしてもらえないでしょうか」
「もちろんよ。あとでリビングにお茶飲みに来てね」
布団の中で頬を引っ張ってみた。痛い。
ってことは夢じゃないってこと?
いやいやいや、嘘でしょ!?
「理沙、来たよ」
「……スーツ姿で薔薇の花束持って?」
障子が開く音に心臓がとまるかと思った。
掛け布団越しでも私の声はちゃんと聞こえてるのかな。
「うん。だから出てきてくれない?」
「昨日困った顔してたから絶対に来てくれないと思ってた」
「あぁ、あれは指輪をどうしようかって思っただけ。考えたんだけどこれから一緒に選びに行ってくれる?」
あんなこと言われたら普通嫌いになるでしょ。それなのに、どうして来てくれたの?
「悟は物好きだね。……あの指輪はどうしたの?」
「物好きって何それ。俺はただ理沙が好きなだけだよ。あの指輪はさすがに渡せないかな。顔が見たいから出てきてよ」
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