プレゼントの行方

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「パジャマ姿ですっぴんだから無理」 「はは、いつも見てるし気にしないよ」 いつプロポーズするつもりか知らないけど、こんな格好の時に言われても困る。顔を出した瞬間言ってくる可能性もあるわけで。 「……支度したいから時間をちょうだい。それと、指輪は悟が選んでくれた物がいい。新しい物はいらない」 「え、でも」 「お願い。あの指輪が欲しいの」 「分かった。とりあえずリビングに行ってるね。待ってる」 足音が遠ざかったのを確認してから恐る恐る顔を出してみると、片隅に薔薇の花束が置いてあった。本気なんだと思ったらソワソワして落ち着かなくなった。 スーツケースの中から持ってきた洋服を取り出し着替える。急ぎながらもいつもより慎重にしたメイク。 悟から貰ったネックレスとピアスはないから、アクセサリーは何も身に付けないことにした。 リビングのドアを開けると、悟は家族と談笑していた。悟には眩しいくらいの笑顔を向けられて、母親と弟はニヤニヤを隠しきれていない。 「悟、ごめん。こっち来て」
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