プレゼントの行方

6/18
前へ
/18ページ
次へ
「夕飯の準備しちゃうから悟はお風呂入ってて?」 「ホットプレート取ってあげる。使うよね?」 今夜は私の希望でお好み焼き。 あの吊り戸棚を見てるのがバレたとしても、不自然じゃないかなって思って提案した。 「自分で取れるから気にしないで。ほら、いってらっしゃい」 悟の背中を押して洗面所まで誘導する。 ちょっと無理やりだった気もするけど仕方がない。 シャワーの音が聞こえたのを確認してから、クローゼットから小さな踏み台を取り出した。 アレを私が持ってたらどんな反応するかな。怖いけど確かめなきゃ。ここ開けるの久しぶりだし、なんか緊張してきた。えいっ。 「……え?」 ホットプレートを取り出して棚の中を確認してみる。隅々まで見てみたけど、その中にあの紙袋はなかった。 ダメ、泣きそう。 「悟、ごめん。体調悪くなってきた気がするから今日はもう帰るね。悪いけど夕飯は適当に食べて?」 「えっ、大丈夫?車で送るからちょっと待ってて。すぐ出るから」 「バスで帰るから大丈夫。また、ね」 勝手に期待してた私がバカだった。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加