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「夕飯の準備しちゃうから悟はお風呂入ってて?」
「ホットプレート取ってあげる。使うよね?」
今夜は私の希望でお好み焼き。
あの吊り戸棚を見てるのがバレたとしても、不自然じゃないかなって思って提案した。
「自分で取れるから気にしないで。ほら、いってらっしゃい」
悟の背中を押して洗面所まで誘導する。
ちょっと無理やりだった気もするけど仕方がない。
シャワーの音が聞こえたのを確認してから、クローゼットから小さな踏み台を取り出した。
アレを私が持ってたらどんな反応するかな。怖いけど確かめなきゃ。ここ開けるの久しぶりだし、なんか緊張してきた。えいっ。
「……え?」
ホットプレートを取り出して棚の中を確認してみる。隅々まで見てみたけど、その中にあの紙袋はなかった。
ダメ、泣きそう。
「悟、ごめん。体調悪くなってきた気がするから今日はもう帰るね。悪いけど夕飯は適当に食べて?」
「えっ、大丈夫?車で送るからちょっと待ってて。すぐ出るから」
「バスで帰るから大丈夫。また、ね」
勝手に期待してた私がバカだった。
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