プレゼントの行方

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バスに揺られていた頃、悟からメッセージが届いた。既読にしたくないからサイレントモードにしてから放置。今は読みたくない。っていうか読めない。 あの箱、誰に渡したんだろう。 他に好きな人が出来たなら、その時に言ってくれれば良かったのに。指輪贈るなんて本気なんだろうし。 アパートに着いてからもスマホは確認しなかった。身に付けていたピアスとネックレスを外して、テーブルの上に乱暴に置く。 「今年の年末は実家で過ごそうかな」 時刻は夜の七時半。今からでも実家には帰れる。クローゼットからスーツケースを探しだし、洋服や必要そうなものを適当に詰め込んだ。 あ、冷蔵庫確認するの忘れた。 そんな気分じゃないし別にいいか。たいしたもの入ってるわけじゃないし。 年末ともあって外は寒い。 少し前に降りたバス停の反対側に立って街行く人達を眺める。みんな、どこに行くんだろう。 「理沙!」 バスを待ってるはずなのに、そこに現れたのは車を運転している悟だった。少し走らせた辺りでハザードをたいて停まる。
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