11 天才はこれだから

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11 天才はこれだから

「いや、何してんのお前」 塔を訪れたマーカスは用事を忘れてつっこんだ。 ローブが額に入れられてる。 「まさかとは思うけどこれアメリアちゃんが着たやつとか言わないよな」 同期が変態だなんて嫌だ。 「違う。 座ったんだ、上に」 同期が大変な変態だった。 「だからって額はないだろう。アメリアちゃんが知ったら嫌がるぞ」 「ものすごく眠いときにこれを見るだけで頑張れるんだ。聖痕と言ってもいい」 ちょっと何言ってるかワカラナイ。 「今は何研究してるんだ?」 「魔道具と、依頼された術式と。人心掌握のための拡声器につける術」 「俺が諜報員って忘れてない?そんな簡単に言っていいわけ?」 「諜報員なら全部本当のこと言ってるかどうかくらいわかるよな。 それに、俺以外の人間が使えない理論なら漏らしても問題ない」 「天才め……!」 フレディはダラダラしているように見えて脳だけはフル回転していて理論を組んでいたりする。 「なあ、アメリアちゃんの親戚みたいな執着してそうな年上の男がいるんだけど興味ある?」 「やだ、想像したくない。絶対反対されるから会いたくない」 やっぱそうだよな。 「しばらく前は見てるだけで良いって言ってたのに、二人で会ったらもっと好きになったのか。すごい進歩だな」 「まだ知らないことばかりで。アメリアも僕のことを知らない。 例えば、戦争が起きれば僕が兵器を作るだろうことも」 魔術玉を転がしながら淡々という。 「そのために五歳から飼われてきたし衣食住も困らない。だけど人を殺める男はアメリアに似合わない。この前、アメリアが食べているところを初めて見た。本当に美味しそうに食べていた。」 マーカスはフレディが笑っているから、そんなことない、と言えなかった。せめて辛そうにしてくれよ。 「彼女の日常が守れるなら、誰に加担してもいい」 フレディは魔法玉を投げてきた。 「マーカスが僕に構うのは仕事だろう。知りたいことは持って帰っても構わない。でも、アメリアを利用するなら」 魔法玉が割れて小さな青い炎がうまれた。 「僕はこんな国、どうなったっていいんだ」 孤高の天才、フレディ。 魔術師なら憧れない奴はいない。 純粋に術の研鑽だけをしているから。 降参のポーズをとる。 「お前がどの派閥にも現時点で属していないことが確認したかった。アメリアちゃんとのことは本当にただの俺の趣味だ。」 青い炎を氷で固めて投げ返してやる。こういうのは長年の間にやり尽くされた遊び。 「そうそう、アメリアちゃんなんだけど心配な噂があってさーーーー」 ーーーーーーー マーカスはアガット卿にも女将を通じて連絡した。 「アメリア嬢の周囲にいる男性のことで、お耳に入れたいことがーーーーー」
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