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私は今日、Aちゃんの家に遊びに行くことになった。
「今日のご飯は何にしよっかなぁ」
「ハンバーグとか食べたいかも?」
Aちゃんがわくわくした様子で笑うので、私も笑顔で夕ご飯のリクエストをしてみた。
「あ、そうだ、明日提出の課題、今晩やんなきゃ! やっばぁ、徹夜だよー」
「もしかして、中田教授の課題? あの先生、課題に重きおいてるから、提出し忘れたら内申点に響くよ」
私はAちゃんを揶揄うように笑って、「仕方ないから、手伝ってあげる」と言った。
Aちゃんの家に着いて、部屋にお邪魔した。そこは1LDKのアパートで、一人暮らしには広く、二人暮らしには丁度いい広さだった。
靴箱には男性物の靴と女性物の靴が整頓されて並んでいる。ざっと見回して目に入る小物に、いくつか男性が好みそうなものも見当たる。Aちゃんにはちゃんと彼氏がいた。じゃあ、なんで、彼氏を見せてくれないんだろう…?
友達だよね、私たち…寂しい気持ちが、私をもやもやさせる。帰ってすぐに夕食の準備に取り掛かり始めたAちゃんの後ろ姿を、私は何か言いたげな表情で見つめた。
夕食作りを邪魔してはいけないので、私は大人しく居間に座ってAちゃんを待った。暇なので、部屋の中をキョロキョロと見回す。Aちゃんの彼氏さんの服装、結構好みかも。ハンガーにかけられている上着などを眺めながらそんな事を思った。
でも…私は違和感を感じた。一緒にかけられている女性物の上着、あれ、Aちゃんらしくない服だなって…。
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