◆14

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仕事中別々に作業をしていてもいつもどこかから私のことを気にしてくれて 少し無理をしそうなタイミングでは、いつでも駆けつけて助けてくれる。 だけど私が頑張っていることにはきちんと気付いてくれていて それを誰よりも1番に認めてくれる。 そんなことできたのは 瀬戸さんが超人だからだと思っていた。 だけど、もし。 瀬戸さんがいつも気にして、私のことを見てくれていたんだとしたら? 陽菜と結婚できて一生一緒にいられるやつは幸せだと思うよ。 結婚できないかもと弱音を吐いた私にくれたその言葉。 慰めでくれたものだと思っていた。 キスも身体の関係も 相手は誰でもいいのだと勝手に思っていた。 辛い時、落ち込んだ時 頭を撫でてくれる。 抱きしめてくれる。 私を優しい瞳で見つめて 柔らかく微笑んでくれる。 誰が相手でも、それこそ、別に好きではなかった今までの彼女にだって 同じように振る舞っていたんだと思っていた。 陽菜、可愛い。 関係を保つために 便宜上吐いた甘い言葉だと思っていた。 瀬戸さんの気持ちは読みにくくて 冗談か本気かいつも分からなかった。 だけど。 瀬戸さん、私のこと好きなんですか? 始まりの夜。 そう軽口を叩いた私に。 ―――好きだよ。 瀬戸さんは、初めから、そう笑っていた。
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