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遠い昔の夢。 いちばん古い記憶は幼稚園生の頃。 先生に言われて将来の夢を皆で各々画用紙に書いて発表をした。 私は目を輝かせながら 白いドレスとタキシードを纏い、腕を組んで幸せそうに微笑む男女の絵を夢中で書いた。 いつか白馬の王子様が迎えに来て キラキラした魔法みたいな世界で、幸せになれると本気で信じていた。 大人になった今。 白馬の王子様は来ないとさすがに分かっている。 だけど。 あの日描いた将来の夢は“お嫁さん”。 ―――その1番の夢は、多分、今も変わっていない。 「……んっ」 意識と関係なく漏れた声が、照明を落とした部屋に静かに溶ける。 ベッドの上で裸の私に覆いかぶさる男がこちらを見下ろして小さく微笑んだ。 「ここ気持ちいいの?」 「……っ」 応えられずに目を逸らす私に、目の前の彼が愉しそうに笑う。 「可愛い、陽菜」 そう呟く彼が執拗にさっきから同じところばかりを責めてくる。 快楽の波に襲われて、私は溺れてしまいそうになるのを、彼のはだけたシャツにしがみついて懸命に堪えた。
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