◆14

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「毛並みの色じゃないんですか?」 そう咄嗟に口にした私に、長谷川さんがからかうように楽しそうにその瞳を輝かせる。 その“答え”にくるみちゃんが隣で悲鳴を上げるのを他人事みたいに聞きながら ―――私はただぽかんと目を丸くすることしか出来なかった。 同じ日の夜。 食事を適当に外で済ませた私は自室のソファへ座り込んで、ふうと長めに息を吐く。 週末はいつも瀬戸さんと一緒だった。 1人で過ごすのは久しぶりだ。 さっさとお風呂にでも入ってしまいたいけど、どうせ明日は休みだ。 予定も特にない。 そう思うと何もかもが面倒になって、私は着替えもせずにソファへ沈み込んだまま動けない。 1人きりの部屋の中。 私はぼんやり昼間のくるみちゃんや長谷川さんの会話を思い返していた。 “瀬戸さんは朝倉さんが好きだと思ってたんで”。 くるみちゃんの声を振り落とすように思わず首を左右に振る。 いやいや、そんなはずない。 だって。 瀬戸さんは、そんな素振り全く―――。 そう自分に言い聞かせてから 直後にはっとして、固まってしまう。 ……本当に? そんな素振り、本当に、全くなかった? そう自問して、 瀬戸さんの今までの行動や言動を無意識に思い返す。
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